来年2022年からの「情報I」授業の進め方について




みなさんこんにちは。

プロクラスの吉田です。

ヨシダミツヒロ(@milan40920)

日々、デジタルが生活に浸透してきている事で、僕たちの生活はとても便利に効率よくなっていっていますね。

学校教育も昨年の2020年からプログラミングが公立小学校に導入され、今年は計画的には公立の中学校がプログラミングを行っているわけですが、なかなか現場となる学校では、先生の負担が増えることもありますが、先生が専門的な知識が必ずしも持たれているわけではないため、しっかりと進められているわけではなさそうです。

しかしながら、来年は計画通り高校生にも授業の必須項目として「情報I」が導入されるため、各学校は授業方針の策定や評価などの準備に追われているのではないでしょうか。

私達プロクラスは、3年前からいくつかの都内や地方の私立の中学校や高校の授業を受け持たせていただいており、生徒はもちろんのこと、先生にもデジタルについての関わり方や考え方、操作方法など全般的に研修させていただいております。

今回一年早く高校生に向けた「情報I」を実施させていただいた経験を元に、来年以降どのように授業を進めていくべきなのか の一例をお伝えしたいと思います。

■ 授業の方針について

色々と先生方と喧喧諤諤議論を行いながら、文科省からの指導方針をベースとしながらも、独自性を加えながら、これから学び始める生徒達にとって、苦手意識を持たせないで、楽しく理解できる最善の方法を提供したいという思いで、カリキュラムを提案しています。

■ クラス全員の生徒に理解させるには

理解するためには長時間疲れない「遅筋(ちきん)」と瞬発的な力を発揮する「速筋(そくきん)」をバランス良く鍛える必要があります。

遅筋を鍛えるためには、継続的な授業で、生徒との日々の関わりの中で、理解力をつけるために、遅筋の筋トレのようにトレーニングを用意してコツコツと筋力アップすることも可能ですが、単発の「情報Ⅰ」だけの関わりでは、なかなか遅筋を鍛えることができません。

ここでは速筋のように、時間内に瞬発的な力を発揮できるように、以下の2つの要素をご紹介します。

・生徒全体に伝える工夫(映像)

オンライン環境で授業をすることも多いため、Atam Mini Proなどのインポーズ機能や画面スイッチングを行い、映像もLIVE感を出しながら、TVのような映像で、固定で資料だけが写っている状態を避け、より興味を持ってもらうように進めています。
それによって、授業に興味を持ってくれる生徒が増え、集中してくれる時間が延び、確かな効果がみられました。

・生徒が自力で補完ができること(身近な例え)

極力難しいと感じる事は、いくつか種類があると思うのですが、その中でも、できる限り身近なものに置き換えてやわらかく表現し、授業の内容が生徒にとって想像できる範囲であれば、ついてきてくれます。自分に置き換える要素からかけ離れてしまうと、極端に集中力が落ちます。これは、概念形成ができる生徒とできない生徒がいるため、現実(リアルな体験)と概念(体験や想像するイメージ化)が補完できるように、例にはわかりやすいものをチョイスし、自ら気づきを得てもらうように指導するように考えています。

■生徒に学んでほしいこと

情報は、太古の昔から近年1980年頃まで社会の大半は、アナログのみで扱われてきました。

アナログとは、連続した量を他の連続した量で表示することと説明され、よく長さや量、物質を表すときに使います。区切られることなくゆるやかに止まることなく変化していくものを「アナログ」といいます。

デジタルは、デジタルの語源はラテン語の「digitus(指)」と言われています。「指折り数える」という動作から派生して、段階的に区切られた数値のことを「デジタル」と呼ぶようになったそうです。

連続する量をとびとびな値として表現することで、アナログは連続の表現、デジタルは区切られた表現と対比されます。

デジタルで表現される代表的なものとしては、時計や温度計などです。デジタル時計は1秒や1分ごとに数字が切り替わり、現在の時刻をわかりやすく見せてくれます。

現代は、エレクトロニクスが発達し、アナログの情報をでデジタルを通して視覚化されてきたものをどのように活用していくのか、デジタル化されてしまうことによって、弊害が生まれます。弊害の一つの例としては、情報が視覚化されることによって、データとして残り続けます。企業で大切にしている秘密情報が出回ったり、個人では、視覚化されたデータが人の悪口だったり、映されたくない写真や二次加工されて、本来の情報ではない写真や画像がインターネットを通じて世界に広がってしまった場合、二度と回収できません。

そのような現象がデジタル情報では発生し、沢山の人の心を傷つけたり、戦争のきっかけになったりと小さなデジタルの取り扱いのミスによって、大きな問題に発展する場合があることを認識し、適切な扱いを誰もが知らなければなりません。

このようなことを子供の頃から学ぶ機会がこれまでなく、取扱説明してくれる授業が必要でした。

ネガティブな情報の取り扱いだけでなく、ポジティブな要素としては、情報を自由自在に取り扱い、サービス化するための仕組みを自分自身で作れる方法も、情報のインプットとアウトプットのコントロールです。

情報の取り扱い方、特徴を理解することで、さまざまな人間に役に立つサービスやシステムを作るための技術(データ構造や種類、コンピューターの構造や知識)や方法(プログラム言語やその使い方、アルゴリズム、データ編集など)も教えてくれる授業が「情報」という授業です。

■プログラミングを理解すること

プログラミングは「サービスやシステムを作るツールや手法」なのですが、サービスやシステムを作るためには、そう簡単にはいきません。

昨今は「エンジニアになると高収入!」や「海外でノマドライフ!」などと魅力的ないい印象ばかり目につき、子供も大人も惑わせる情報が多いですが、すぐにサービスを思いついたり、それをプログラミングできる訳ではありません。

それをするためには、課題を必要な粒度まで分解し、情報を構造化する力(概念化と要素分解)が必要です。

これを学べる授業が理系の授業なのですが、数学や物理、化学などを学んでいける人はすでに概念や要素分解が基本ベースできることが前提の授業のため、理系の授業が苦手な人は、授業内容の理解が難しいわけです。

概念とは沢山の細かな要素で構成されているのですが、沢山の構成されている具体的な要素が不明瞭で、ぼんやりしていることを示します。

そのぼんやりしていることを、論理的に整理していく力が必要です。

概念が理解できる人は、ぼんやりとしている情報ながら、おおよその情報を体系化して、自分の理解できる要素に落とし込むことができるのです。

それができない人は、ずっとできないわけではなく、訓練することで考え方に慣れ、力をつけることができます。

それが2020年から導入されたプログラミング学習です。

■概念を理解するために

「要素を分解して組み立てる」を小さな課題からどんどん大きな課題に挑戦し、自分の力で概念を要素分解できる力を習得することができる授業です。

実質は、学校で学べる授業数が少ないため、その力を鍛えることは難しいのですが、日々プログラミングを少しずつ取り組む機会があれば概念と要素分解をする力が身についてきます。

社会に出ると、仕事は課題の連続です。その課題は明確にされているわけではなく、概念として空気のようにフワフワと世の中を不便にしています。

そのフワフワした課題を概念から構造化し、要素分解して各会社はサービスを作り、人々に届けて金銭を得ています。

その社会の一員となる子どもたちに、自分で考える力を身につけて、必要とされる人が一人でも多く巣立ってもらいたいと思いながら、授業に取り組んでいます。

プロクラスでは、プログラマになってもらおうというわけではありません。

勿論プログラマになるためにも必要な要素が論理的思考であったり要素分解、概念理解なのですが、私たちが最も大切だと思っていることは、ここで述べたように、日々考える機会を用意し、地道に概念理解、要素分解を繰り返すことによって、力がつき、社会に出て世の中の課題が見えるようになること、そしてそれをサービスに落とし込めることができる人材になってもらいたいと思っています。

是非プロクラス、プロクラスキッズを覗きに来てください。

一緒にIT筋トレしましょう!

プロクラスの吉田でした。