こんにちは。プロクラスの吉田です。
今年2022年4月から僕は必須科目となった高校生の情報授業のうち、選択科目となる「情報II」を実施させていただいています。
去年は「情報I」を行い、学校側からとても好評いただいたので、情報IIも続けて実施させていただいている次第です。
目次
情報授業について
高等学校に教科「情報」が新設されたのは,2003年度です。
普通教科(現共通教科)と専門教科が設定され,普通教科は情報活用の実践力を中心に学ぶ「情報A」と、情報の科学的な理解を中心に学ぶ「情報B」,情報社会に参画する態度を中心に学ぶ「情報C」の3科目が設定されました。
これは余談ですが、実際のところ、全国の高等学校における各科目の開設状況は,「情報A」が約80%であるのに対し,「情報B」はわずかに5%,「情報C」も15%程度と、「情報A」に偏っています。
その後,2013年度から施行されている学習指導要領において,共通教科情報科は,「社会と情報」と「情報の科学」の2科目に再編され、「情報A」に相当する科目が消滅し,「情報B」を「情報の科学」に,「情報C」を「社会と情報」に発展させたような位置づけとなっています。ちなみにここでの開設状況は「社会と情報」が80%,「情報の科学」が20%程度とのこと。
今回、学習指導要領改訂の第3ステージとして,2022年度から施行される次期学習指導要領では,必履修科目が「情報I」に一本化され,さらに,発展科目として「情報II」が設定されました。
これは、情報の科学的なアプローチとなっており、現行の専門教科情報科で扱っているような深い内容のものも幅広く取り入れられています。
その中でも、メディアプランニングについての授業をご紹介したいと思います。
メディアプランニング
これは「情報II」の中にある「第二章 コミュニケーションとコンテンツ」の中の授業です。
B to C のコミュニケーションをする上で、外せない考え方をこの授業では学べます。
マーケティングにおいて、ユーザーの消費行動を体系立てる際に使用される「AIDMA(アイドマ)」「AISAS(アイサス)」という2つのフレームワークがあります。
どちらも、ユーザーが商品やサービスを購入する際のプロセスをモデル化したものです。2つの使い分けは混同しやすいため、使い分けできるように授業では説明しています。
AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つです。
AIDMAは大量生産・大量消費が盛んであった1920年代、アメリカで販売や広告に関する書籍を執筆していた、サミュエル・ローランド・ホールによって提唱されたモデルです。
ISASは2004年に電通が提唱したマーケティング理論の1つで、消費者がなんらかの商品の購入・利用やサービスの選定・利用に至る行動について、ある一定のパターンとして整理したモデルです。
AISASはそれぞれ「Attention(注意)」、「Interest(関心)」、「Search(検索)」、「Action(行動)」、「Share(共有)」の5つの頭文字を取っており、消費者の以下のような行動を表しています。
マーケティングやメディアを計画、戦略を立てる上で必ず知っておくべきもので、この5つの段階は、消費者が商品やサービスの購入を決めるまでの流れとなっています。
消費者の購買決定までの心理を分解することにより、顧客がどの段階にいるのか把握することを目的としています。
顧客の心理状態に応じたアプローチをすることによって、顧客へ的確なコミュニケーションを可能にすることができるとうものです。また無駄なアプローチをなくすことができるので効率的に進めることができるとても便利なものです。
各心理状態とアプローチ目標
今回はAIDMAに絞って、それぞれ各5つの心理状態はユーザーが商品やサービスを購入するまでの段階を時系列順に示しています。それぞれは、ユーザーの心理状態とそれに対する有効的なアプローチする目標があります。
以下、各プロセスについて解説していきます。
Attention(注意)
1つ目のAttention(アテンション)は「注意」するという意味ですね。
「消費者が商品やサービスについて知る段階」を指しています。アプローチの目標としては、まずは消費者に商品やサービスの存在を認知してもらうことです。
Attentionの段階にいる消費者は、webやSNS、テレビ広告などから情報を得ることで、消費者は商品やサービスの存在に気づいた状態です。
Interest(関心)
2つ目のInterest(インタレスト)は「関心」を意味しています。
「認知した商品やサービスに対して消費者が興味や関心を抱く段階」を指しています。アプローチとしてはサービスに関する評価を良くしていくことが目標となります。
Interestの段階にいる消費者は、商品やサービスについて知り、理解していて、その後興味や関心を抱いている状態です。
消費者に「もっと商品を詳しく知りたい」「そのサービスが気になる」というように引きつけることが重要ですね。
Desire(欲求)
3つ目のDesire(ディザイア)は「欲求」を意味しています。
これは「気になっている商品やサービスを実際に使ってみたいと思う段階」で、ここでのアプローチとしては、ニーズの喚起です。
Desireの段階にいる消費者は商品やサービスの特徴を詳しく知った上で、自分の悩みを解決するものや希望を叶えられるものを探しています。その結果、自分に必要なものであり、手に入れたいという欲求が生まれます。
よく商品を使ったモデルが着たり、装着した広告写真がありますよね。
これを見て消費者は「かわいい(カッコいい)!これを着て(付けて)出かけたい」といった欲求が生まれます。
このように、消費者が商品やサービスについて詳しくなることによって、欲しいという欲求を引き出すことができます。
Memory(記憶)
4つ目のMemory(メモリー)は「記憶」の意味です。
「消費者が実際に購入しようと思うまでの記憶段階」を指しています。アプローチとしては記憶の呼び起こしです。
人は一度欲しいと思ったとしても、必ず消費者がすぐに買ってくれるとは限りませんよね。
欲しいと思ったことを忘れてしまうこともあるし、他社製品と比較することもあると思います。さまざまな媒体を通して商品やサービスの情報を多く提供することで、購入の動機をもたせる必要があります。
一度欲しいと欲求を持った消費者に再度アプローチをする必要があります。例えば一度訪れたサイトを再度表示させることができるリターゲティング広告というものであったり、チラシやパンフレットなどが手元にあると名前やブランド名を記憶させ、欲しかったことを思い出させることができます。
このように、一度欲求を持った消費者にもう一度商品やサービスを見せることで、欲しかったことを思い出してもらうことが必要です。
Action(行動)
5つ目のAction(アクション)は日本語で「行動」です。
「商品やサービスを購入する最終段階」を指しています。ここでのアプローチは、機会提供となります。消費者は商品やサービスを欲しいと思っていても、必ずしも購入するとは限りません。そこで、Actionにさせるように、行動させる必要があります。
先ほどの、リターゲティング広告の後、欲しかったことを思い出した消費者が、広告をクリックして、または自らサイトを再訪して購入すれば、マーケティング戦略が成功したといえます。
たとえ欲しいと思っていても、「今すぐにほしいわけではない」「買い方がわからない」などの理由で実際の購入にいたらないケースもあります。マーケティングにおいては、期間限定の特典や商品の配置・サイト内でのUI/UXの改善など、消費者が商品を購入したくなるといった施策が重要なんですね。
最後に
いかがでしたか?
高校生もコンテンツやその作り方だけではなく、メディアをどのように活用していけばコンテンツをお客様に届けられるのかの重要ポイントなる心理行動、マーケティングの手法も学ぶことで、より深く社会の仕組みや、ビジネスモデルには欠かせない、作り手や売り手の考え方を理解することができるような時代になってきました。
学ぶ内容は、そのことだけを学ぶよりも、前後関係や文脈、心理状況を理解する方が考えが深まりますので、これが授業の参考になれば幸いです。