高校生に行う「情報II」の授業




こんにちは。プロクラスの吉田です。

ヨシダミツヒロ(@milan40920)

現在私立の高校にて「情報II」を行なっているのですが、

その授業内容の話を色々な会社の方や役員の方々にお話しする機会があり、

とても好評なため、少しこのブログでも紹介したいと思い、今回取り上げさせていたいただきました。

「情報」の授業とは?

今「情報」という授業をなぜ教えるのか。

それは、文科省のwebページを見てみると以下のような内容が記載されています。

これからの時代は,情報化,グローバル化が進展し,多様な事象が複雑さを増す中,進化した 人工知能(AI)が様々な判断を行ったり,身近な物の働きがインターネット経由で最適化される IoT が広がったりするなど,Society5.0 とも呼ばれる新たな時代の到来が,社会や生活を大きく 変えていくとの予測もなされています。 文部科学省では,こうした状況を踏まえ,高等学校学習指導要領を改訂し,教科等横断的な資 質・能力として「情報活用能力」を位置付けるとともに,共通教科情報科の内容を充実しました。
今回の学習指導要領の改訂により,情報科は「社会と情報」及び「情報の科学」の 2 科目から の選択必履修から,共通必履修科目としての「情報 I」を設けることとなった。高等学校学習指 導要領解説情報編によると,「『情報 I』では,プログラミング,モデル化とシミュレーション,ネットワーク(関連して情報セキュリティを扱う)とデータベースの基礎といった基本的な情報技術 と情報を扱う方法とを扱うとともに,コンテンツの制作・発信の基礎となる情報デザインを扱い, 更に,この科目の導入として,情報モラルを身に付けさせ情報社会と人間との関わりについても 考えさせる。」としている。

–文部科学省HPより–

ここに書かれているように、これからの時代は「情報」というものを理解した上で、それをどう活用していけるのかの『創意工夫する力』が必要とされる社会になるというわけです。
その力が社会人の付加価値となり、重宝される人材になる位置付けです。

情報というものの特性や構造を理解することがとても重要なことがわかりますね。

「情報」を学ぶことで何が深まるのか?

文科省は「情報」を学ぶことによって、以下の要素を各学校へ鍛えるように示しています。

  • データサイエンス力

  • 情報デザイン活用力

  • 情報技術の発展力

「データサイエンス力」は、数学と連携して統計的な考え方を深めるとともに,データに基づいて科学的に考える力を養うこと。

ここで求められる力は、データを数値として使いこなし、計算や変数などによってデータの本質を視覚化していくなどができる力というイメージですね。

ソフトウェアだけでも解決する方法はいくらでもありますが、プログラム言語やデータ構造を理解している方が断然有利です。何故なら自分で思うようにデバイスやコンピュータ、データをコントロールすることができますし、現時点でもPythonはかなり強力なAIやライブラリ、開発統合環境(IDE)が用意されているため、簡単にデータの本質を取り出し、利用することができます。

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「情報デザイン活用力」は、現在習っている学校の各教科・科目等の学習成果を見やすく、相手に伝わるように要点をまとめたり,発信したりする際に必要な力を養うこと。

ここで求められる力は、情報はさまざまな形で存在していて、どこが重要なのか、どこを優先的に伝えるべきなのかをそのシーンごとに表現を最適化できる力だと思います。

例えば値段が安いジーンズを売りたい場合と、機能性が高いジーンズを売りたい場合でのアクセントの用い方、見せ方で相手への伝わり方が劇的に変わります。これをうまく使ったものが世の中にある国内で6兆円市場規模のある「広告業」という仕事です。

情報デザインの記事を見る

「情報技術の発展力」は、人類の知的活動への影響について考えることは,生徒自身のキャリア形成(進学や就職)を考える上で重要な視点を与え養うこと。

この力は、これからどれほど人類が情報技術(IT「アイティー」で、Information Technologyのこと。広くインターネット通信やコンピュータを指す)を使って社会を発展(高度成長)させていけるかを考える力です。どんなことをすると社会がより豊かになり、人々が幸せに暮らせるようになるのかをITを使って人を超越するSOMETHING NEWを見つけられるかに日本の発展はこの力に委ねられています。

「情報」で学ぶ内容について

 情報社会の進展と情報技術
② コミュニケーションとコンテンツ
③ 情報とデータサイエンス
④ 情報システムとプログラミング
⑤ 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究

の5つを学びます。

それぞれの学習内容は、以下の通りです。(以下は情報Ⅱの学習内容)


 情報社会の進展と情報技術

・情報セキュリティ・制度の変化

・情報社会の進展

・コミュニケーションの多様化

・知的活動の変化

・コンテンツの創造と活用


② コミュニケーションとコンテンツ

・コミュニケーション目的の制作と発信

・情報の科学的な見方、考え方

・メディアの組み合わせたコンテンツ制作

・情報デザインに配慮したコンテンツ制作と改善

・コンテンツを社会に発信した時の効果や影響

・コンテンツの評価と改善

・ペーパープロトタイピングによるコンテンツ制作の流れ


③ 情報とデータサイエンス

・情報の科学的な見方、考え方と分析

・システムやネットワークに接続された機器の生成データを整理、整形、分析

・社会の身近な生活での人工知能を使ったサービスの理解

・不確実な事象の予測を行うためのデータの収集、整理、整形、モデル化、可視化、分析、評価、実行、効果検証 などの方法を理解することで、科学的に考える力、問題解決に取り組む力を養う


④ 情報システムとプログラミング

・情報システム全体の情報の流れ

・情報システムの情報セキュリティ

・情報システムの表し方

・情報システムの分割と設計

・分割したシステムの制作とテスト

・分割したシステムの結合とテスト

・情報システムの評価・改善


⑤ 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究

活動例1 情報社会と情報技術

活動例2 コミュニケーションのための情報技術の活用

活動例3 データを活用するための情報技術の活用

活動例4 コンピュータや情報システムの基本的な仕組みと活用


最後に

僕は過去30年ITの黎明期から関わってきたものの一人として、この内容を実際に教える側に立って、解釈し、学生たちの理解を深めるための補完資料などは必要なので作っていたりするのですが、内容を見てみると、大体のことが網羅的に学習するようになっているなと感じました。

実際の学生の学習時間でこの内容を学習するとなると、かなり浅くしか理解できないのですが、気づきにもなりますし、ここを手がかりとして、深く学んでいけるきっかけには十分ではないかと思います。

もしも教員の先生がこのブログをご覧いただいているとしたら、

但し書きとして、この学習はきっかけレベルになってしまうワケですから、かなりインパクトをもった授業内容にして生徒の興味関心を引き出して欲しいと思いますし、ただ教科書通りの内容をなぞるのではなく、教員のテキストにあるように、授業を行う上でのポイントを押さえていただき、現在実際にある事例を交えて説明を加え、身近に考える授業にしてもらえれば幸いです。

例えば、セキュリティーや暗号化についての授業であれば、誰もが目にしたことあるスターバックスカフェの無料Wi-Fiを取り上げて、興味関心を惹き、そのセキュリティーの弱さを受診メールのID、パスワードがパケットキャプチャソフトによって、簡単に手に入る様子を見せるなどでインパクトを与えるといった授業展開などがとても効果的ですので、参考にしていただけると嬉しく思います。

情報についての話をすると、冒頭に書かせていただいたように、さまざまな方から反響がありましたので、簡単に事例を踏まえてまとめて書かせていただきましたが、是非これをきっかけに、更に楽しく、自ら学びに向かえる意識を持てる授業を講師の皆様にお願いしつつ、終わりたいと思います。

またご意見やご質問などありましたら是非吉田宛にメールやDMください。必ずご返信させていただきます!

ヨシダミツヒロ(@milan40920)

それでは!