なぜプログラミング教育?




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こんにちは。プロクラス代表の吉田です。
ヨシダミツヒロ(@milan40920)
 
 
いつも皆さんプログラミングについて学ぼうと真剣に聞き入ってくれています。
感想もありがたいことに、「プログラミングについてよくわかった!」「子供にとってとても役に立ちそうだ」とても好評です。
 
まだ体験されていない方は是非お越しください!!
 
また、キッズ向けの各授業も1時間無料体験をしていただけます!
こちらもお問い合わせいただき、比較検討していただければと思います。
 
 
 
授業を体験いただいているときにおうちのかたからお問い合わせいただくのですが、
その中でもよくあるご質問は、
 
・プログラミング学習が何に役に立つのか教えて欲しい
・プロクラスはプログラミングをさせた結果どうなるのか
 
が圧倒的に多いんです。
この回答は後ほどさせていただきたいと思うのですが、
このようにプログラミングを学ぶことによる効果の不透明さは、
ご家庭だけではなく、公立も私立もどちらの学校でも同様です。
 
これから2020年に向けて各学校が事前の取り組みとして、プログラミング学習を始めようとしています。
これに伴い、いくつかの学校からご相談をいただいているのですが、それは、
 
・どのようにプログラミングに取り組んでいけば最適なのか
・どのようなポイントを大切にして授業を展開していくべきなのか
 
といった根本的な方針に対して悩まれているようです。
これは、プログラミングの実践経験と専門知識のない学校側と講師の方々には
その展望が不透明なためクリアにしたいというのが現状のようです。
 
その背景には、総務省はIT人材を2025年までに100万人育成するという方針を発表しています。
これを受けて、文部科学省は2020年度からの次期学習指導要領において、小学校でのプログラミング教育を必修化とすることを決定しました。
 
ちなみに文科省は、現在各国のプログラミングの実施状況をまとめ、サイト上で公開しています。
 
 
ご家庭の相談内容と小学校の相談内容は、「なぜプログラミング教育の実施に日本は動いていくのか」を根本的なところから理解するためにまずは過去の日本の学校教育についての経緯を紐解くととてもわかりやすいのではないかと思ったのと個人的に興味があったので、こちらにまとめてみました。少し長いですがお付き合いいただければ幸いです。
 

<近代教育の流れ>

世界各国の子供達がどれくらい数学と理科が理解しているのかを調査する「国際教育達成度評価学会(以下、IEA:International Association for the Evaluation of Educational Achievement)」というものがあります。
ここで日本の成果は以下のように証明されています。
 
1964年~1967年にかけて実施されたIEAの第一回目の国際数学教育調査に日本は参加したのですが、ヨーロッパ各国、米国、イスラエルの合計12か国の中で、日本の13歳の生徒の数学成績は、イスラエルと並んで参加国トップクラスでとても優秀な結果でした。
 
そして、続いて行われた理科教育調査(1970~1973年)でも、日本の小学校5年生、中学校3年生の理科の成績は、参加した19カ国中なんと第一位!
 
 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)(国際教育到達度評価学会(IEA)実施)
文部科学省HPより「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)(国際教育到達度評価学会(IEA)実施)」
 
この時期の教育と子供達は世界でトップであり、戦後の日本の経済、社会、文化の発展の推進力となってきた事が伺えます。
 
当時の日本社会が求める資質を備えた人材、すなわち、
・技能の変化に対応する力
・基礎的な知識と技能
・規律
・勤勉さ
・忍耐力
・集団の中での協働作業能力
を身につけた人材を数多く輩出することができた時代だったのではないでしょうか。
 
 

<過剰教育によるネガティブ>

しかしながらその反面、日本の教育は日本人特有の過度の画一性(いわゆるガラパゴス化ですね)により、有名高校や一流大学への入学をめざす受験競争の激化が子どもやその親たちに大きな心理的ストレスを与えていきます。
 
丸暗記を強制し、詰め込み教育が行われ、児童の探究心や創造力を奪っていると批判された時代でもありました。
 
また、それに伴い、学校の授業についていけない子どもの増加が目立ち、学校での勉強を補完するために多くの子ども達が「塾(民間の補習教育機関)」に通うことになったり、学校嫌いによる「不登校」の生徒も増加し、校内暴力、イジメ、青少年の非行や青少年の自殺、などの問題の深刻化が浮き彫りになっていき、社会問題となるネガティブな時代です。
 
その後、1970年代に入ると、1960年代に経験した急激な社会と経済状況の変化と共に、日本の教育制度のあり方を全体的に見直すべきであるという議論が高まって来ました。
 
1971年、文部大臣の諮問機関(行政庁から諮問を受けて審議調査した上で意見をする機関)である中央教育審議会は「今後における学校教育の総合的拡充のための基本的施策」を答申します。これは幼稚園から大学の体系の再編成をするための教育改革案です。
 
ただ、この改革案は、教員の組合や大学の関係者の反対や抵抗があり簡単には推進しません。
 
他にも合わせて1973年に起こった「石油ショック」による景気の後退や政府予算の制限により、大規模な教育改革に必要とされる財政的措置を行うことがきわめて困難になったことも大きな原因でこの提案は残念ながら棚上げとなりました。
 
 

<教育改革へ>

その後1982年末に中曾根内閣が発足し、政権の主要な政策課題として教育改革を実施していきます。
そして1984年、首相直属の諮問機関として「臨時教育審議会(以下、臨教審)」を発足されることになります。
 
臨教審は3年間審議を継続して首相に答申を提出した教育改革のための基本方針は、
(1)個性重視の原則
(2)生涯学習体制への移行
(3)国際化や情報化などの変化への対応
という3つの原則を提示し、初等教育から高等教育までさまざまな教育改革方策が提案されます。
 
この臨教審が提示した教育改革の方針や理念の多くは、ここで文部省へと引き継がれ、90年代になると文部省の手によって、ようやく教育改革が具体的に始まったんです。
 
1996年7月に文部省の中央教育審議会が「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について」の答申を発表しました。
この内容は、日本の将来像について書かれています。
 
その内容は、
日本の社会は今後、グローバリゼーションや情報化科学技術の一層の発展地球環境問題やエネルギー問題
さらには、高齢化と少子化がますます進むことにより「変化の激しい、先行き不透明な、厳しい時代」を迎えると予測したものです。
 
 
このような未来の社会を生きることになる子供たちに審議会は
 
(1)自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力や資質
(2)自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性 
(3)たくましく生きるための健康や体力
 
が必要になるとし、色々なところで耳にしているかと思いますが、こうした資質や能力を「生きる力」と呼んでいるのです。
今現在もこの思想は生きてますよね。
 
そして、この「生きる力」を育むためには、学校・家庭・地域社会の教育が同じ目的に向かって連携し、一体となる必要があるわけです。
 
余談ですが、個人的にこの取り組みについて、今の日本社会の様々な問題解決として、引いては人材の鍛え方、世界に立ち向かえるための国力を上げようとしている様子を見ると、日本は明治政府が過去行なった近代国家建設のための政策「富国強兵(国力を充実させるための軍備や産業の成長施策)」の実施を何気に被らせてしまいました。。。考え方によれば現代版の富国強兵なのかもしれないなと。
 

<ゆとり教育へ>

この後、過剰な教育をゆとりをもたらす動きが行われます。
それは「ゆとり教育」と呼ばれる施策により、時間削減が実施されることになるのです。
 
今回はここまで。次回に続きます。
ヨシダミツヒロ(@milan40920)