【人類がピンチ!?】今話題の絵を描くAI「Midjourney」について。




こんにちは。プロクラスの荒木です。
ここ最近、AIの絵が話題になっていますよね。その技術はあまりにも凄まじいため、「イラストレーターや画家はそのうち淘汰されるのでは?」と騒がれてたりもします。
今回はそんな絵を描くAIの中でも比較的有名な「Midjourney」というAIについて紹介したいと思います。※この前、異常な需要と悪用が原因で無料トライアルが一時停止したそうです。 参考=https://gigazine.net/news/20230331-midjourney-stop-free-trials/

Midjourneyとは?

Midjourneyは、簡潔にいえば「私たち人間が送ったキーワードから絵を作成するAI」です。例えば“city”と送ると街の絵を描いてくれます。さらにそこに“Vincent van Gogh”というワードを追加すれば、街をゴッホの画風で描いてくれます。
このように描いて欲しいモチーフや画風を指定すると、その通りに描いてくれるAIです。※多少ズレが生じることはあります。
ちなみにMidjourneyは画像生成AIなので、絵だけではなく写真を作成することも可能です。
↓“city”,“Vincent van Gogh”,“devil”などのキーワードからMidjourneyの作成した絵

Midjourneyの描いた絵と人間の描いた絵を見比べてみる。

せっかくなのでMidjourneyの描いた絵と人間の画家が描いた絵を見比べてみましょう。今回はモネの絵と比較してみます。※一応比較しやすいように描くモチーフはほとんど同じものにしました。

↓モネ『睡蓮の池と日本の橋』 画像引用元=https://artmuseum.jpn.org/mu_suiren.html

↓“water lilies”,“pond”,“Japanese-style bridge”,“forest”などのキーワードからMidjourneyの作成した絵
 
いかがでしょうか?Midjourneyの描いた絵ですが、「人間が描いた絵です」と言われてもほとんど違和感ないと思います。睡蓮や草木、光などの自然物がモネと同じように巧みに表現されており、どちらかの方が明らかに劣っているとは思いません。どちらの作品も素晴らしいと個人的には思います。
ただ一つ気になるのは、「日本の橋」の描き方です。モネの絵の方は問題ありませんが、Midjourneyの方は日本の橋をうまく描けているとはいえないような気がします。この問題について次の章で考えてみましょう。

AIと人間では、事物に対して持っているイメージが異なることがある。

問題について考える前にそもそもMidjourneyなどの絵を描くAIはどういうものなのか、少し掘り下げてみます。
絵を描くAIには人間が正解を与えない、いわゆる「教師なし学習」と呼ばれるメカニズムが使われています。これは、まず人間がAIにインターネット上にある膨大な数の写真や絵をインプットさせ、そこからは人間の介入なしにAIが自力であらゆる事物に関する概念(「海はこんな感じ」、「猫はこんな感じ」といったイメージ)を獲得するという仕組みです。つまり、AIが概念を獲得する過程において、人間はAIに「いや違うよ、海はこういう感じだよ」と教育をしたりしないんです。※絵を描くAIはこうして自力で獲得した概念・イメージ(「海はこんな感じ」、「猫はこんな感じ」)をもとにそこから絵を描いています。
このことを踏まえると、ある事物についてAIの持っている概念・イメージが人間の持っている概念・イメージと大きく異なることは十分起こり得るといえます。前章で述べた問題が生じたのも、恐らく「日本の橋」について私たち人間の持っている概念・イメージとMidjourneyの持っている概念・イメージが異なっていたからではないでしょうか。※特に「日本」に対して持っているイメージが大きく異なっていたのだと思います。また、Midjourneyを運営管理しているのは海外の方達なので、そもそもAIにインプットさせる情報に「日本ってこんな感じでしょ」という欧米のバイアスがかかってしまった可能性もありますね。
 

絵を描くAIによってイラストレーターや画家は淘汰されてしまうのか?

絵を描くAIはただネットなどで話題になっているだけでなく、実際に美術コンテストのデジタルアート分野で優勝していたりもします。既に実績を持っているんです。

↓美術コンテストで優勝したAIの作品「Theatre D'opera Spatial」 画像引用元=https://www.cnn.co.jp/tech/35192929.html ※ちなみにこの絵もMidjourneyが描いたものです。



こういった絵を描くAIの躍進を見ていると、将来イラストレーターや画家は淘汰されてしまうのではないかと不安になりますよね。これについてはいろんな意見があります。「質の高い絵を量産できてしまうので、イラストレーターや画家は要らなくなるのではないか」という声もあれば、「いやまだまだイラストレーターや画家は生き残る」という声もあります。
私はどちらかといえば後者の意見に賛成です。というのも、過去にも少し似たようなこと(高度な科学技術によって芸術家が危機に陥ること)があったけれど、画家たちはそれを乗り越えてきたからです。
その似たようなこととは、カメラの発明です。※ちなみにこれはよくいわれていることなんです。このカメラの発明によって肖像画をはじめとした写実的な絵を描いていた画家は危機に陥りました。カメラは写実的な絵の何倍もリアルな「写真」というものを効率的に作れてしまったからです。では、これで画家は淘汰されたのかというと違います。彼らは絵でしかできない表現を確立して乗り越えてきたのです印象派の作品などが良い例ですね。
絵を描くAIはカメラ以上に厄介なものかもしれません。いろんなモチーフをいろんな画風でしかも効率的に描くことができてしまう恐ろしい存在です。ただ人間の頭脳と手先によってしかできない表現を模索していけば、イラストレーターや画家が淘汰されることはないだろうと思います。(「言うは易く、行うは難し」ですが、、、)個人的には自我や感情、身体性と言ったものがAIにはない人間の強みである気がしますね。
また絵を描くAIと上手く共存していくというのもありだと思います。例えば自分の描いた絵にAIの描いた絵を上手い具合に組み合わせて共同作品を完成させたら面白い気がするし、モチーフは自分で描いてその後ろの背景をAIに作ってもらったりしたら作業効率がグッと上がると思います。このように人間とAIが各々の長所を生かしながら一緒に創作活動するのが理想的かもしれませんね。

皆さんは絵を描くAIについてどう思いますか?是非、Midjourneyなどを使って色々と体感してくれたらと思います。

参考文献

松尾豊(2015)『人工知能は人間を超えるか』KADOKAWA.