ゲーム作りで学べる事とテクニック(手法)について




スクロール

こんにちは。プロクラスの吉田です。

ヨシダミツヒロ(@milan40920)

今回はゲームを作ることで「どのようなことが学べるのか」と「制作側の視点」について書いてみたいと思います。 現在、僕たちが京都と東京で開講しているプロクラスとプロクラスキッズの塾京都造形芸術大学で非常勤講師を担当している授業、東京の中央高等学院さんのアートアカデミーで担当しているゲーム&アプリコースで展開している「ゲームの作り方授業」があります。

小学生から大学生まで色々な年齢の子供や学生たちがゲーム作りを学ぶことにより得ているものは何かをいくつか紹介したいと思います。

ゲーム作りを学ぶことで得られる力

今回は「発想力の拡張となるアイデア」について少し触れたいと思います。 最近NHKで番組にもなったScratchというフリーのビジュアルプログラミングツールがあるのですが、 このツールを僕たちも例外無く使わせていただいています。

このScratch、動かせる画面の領域(TVゲームでいうとテレビを意味します)図1 始めると表示されているネコのキャラクターを配置すると画面が狭くなってしまいます。

これを見て「なーんだ、こんなに小さい画面で作るのか。。。」とはじめみんな残念に感じてしまいます。

スクラッチ画面説明

ここでよく考えてみると。 実はスマートフォンもNintendo 3DSもPS VITAも画面はScratchと同じくらい小さいです。

iPhone63DS画像 PS VITA

(c)Apple,(c)Nintendo,(c)SCE

しかし、画面サイズはScratchの画面と比べると大きく感じますね。

これは説明するまでもないのですが、ゲームの機械全体のサイズから画面の割合が多く占めているため、スマートフォン、3DS、VITAの画面は小さく感じないのですが、Scratchはパソコンの大きな画面の中のブラウザのサイズから比較すると小さく見えてしまいますし、さらにネコのサイズが画面に対して大きいため、よりScratchの画面は小さく感じてしまうというわけです。

ですので、ネコのサイズを小さくしていみると、、、。

Scratch画面キャラクター小さくしたもの おお!、どうですか。画面範囲が広く感じますよね。 キャラクターや中のオブジェクトを小さく表示することによって、 画面を大画面として使うこともできます。    

ゲーム画面のスクロールついて

次は、ゲーム画面(主に背景)を変化させるための手法として、「スクロール」というものがあります。 これは、一つの画面の中で変化に富んだ世界を表現するためには欠かせない昔からある手法です。 スクロールというのは「Scroll」と書き、「巻物」という意味です。
よく使われる3つのスクロールのテクニックを説明したいと思います。

1)連続するスクロール

一つ目は、よく目にするスクロールの手法です。 「ああ、それね」という声が聞こえてきそうですが、 長い巻物がスルスルと左から右、右から左へと巻き取られ、中央の表示されている内容が変化しているのがイメージです。

(c)pixta この中央の表示部分がテレビゲーム画面に見立て、巻物に書かれた景色の絵がキャラクターが動くたびに進行方向の反対に動く。といったような使い方をします。 このスクロールの手法は、電車に乗って窓から景色を眺めるような効果にも使ったりします。

僕たちゲームを作る側は「スクロールする」という動詞にも使います。 この手法を楯に使うと、上から下に景色が流れるシューティングゲームに応用できます。


↑Scratchでスクロールを作ってみた場合の例 また、更にこの背景を何枚か用意し、遠くの山はスクロール量を少しにし、その間の木はもう少し早く、一番手前の草や花などは早くスクロールさせる少しづつずらしてスクロールさせると、立体的な表現ができるためリアリティーが増します。
これは多重スクロールと呼ばれ、アニメーションの制作でも使われる手法です。

以下は立体的にUnityで作られたイメージしやすい説明です。
(参考サイト:http://blawat2015.no-ip.com/~mieki256/diary/201401303.html)

多重スクロール参考
↑ クリックすると動きます! 連続するスクロールの利用目的は、右や左にどんどん進んでいく度に景色が変化し、その景色によって物語のシーンを大きな画面で伝えることができたり、多重スクロールによって、あたかもその場所にいるかのような臨場感を表現出来る点にあるかと思います。 主には冒険物のアクションゲームや戦闘機やロケットのような縦型(トップビュー)や横型(サイドビュー)のシューティングゲームで使われてきました。   この手法のゲームの代表格、

■アクションゲームでは、

・スーパーマリオブラザーズ (c)Nintendo

  ・ソニック・ザ・ヘッジホッグ (c)SEGA
  ・魔界村 (c)CAPCOM
  ・リトルビッグプラネット (c)SCE
  ・UNRABEL (c)Coldwood Interactive
 

■シューティングゲームでは

・ゼビウス (c)BNG

 

・グラディウス (c)KONAMI

  ・Resign (c)Housemarque

   

2)マップスクロール

二つ目はこれも最近はGoogle Mapなどの地図を使う機会が増えていますので、馴染みあるかと思いますが、昔からゲームではよく使うスクロール方式の代表格です。

キャラクターが画面の中央にあり、キャラクターが上下左右へ動くと、キャラクターの位置は変わらず、背景だけが動き、移動しているように見える方法です。

ポイントはトップビューなので、常に自分が中央なので、画面最大でマップ情報が表示されているため、 全体を見渡せる戦略が必要なゲーム性に最適です。  

ドラクエ画面
↑テレビ画面サイズの表示範囲(図1) ↓図1を全体マップに当てはめたイメージ
ドラクエ全体
上記2点の画像 (c)スクウェア・エニックス

動きのイメージは、下の参考動画をご覧いただくと一目瞭然ですが、このようなマップを主体としたゲームスクロール手法は

・ロールプレイングゲーム(RPG)
・シミュレーションゲーム(SLG)
・アクションパズルゲーム(APG)

上記の3つのゲームジャンルによく利用されています。  ※※以下のゲームをご覧いただき、画面の中央に操作するキャラクターが固定されて画面が動くところに注目してください。   この手法のゲームの代表格、

■ロールプレイングゲームでは、

・ドラゴンクエストシリーズ (c)エニックス(現:スクウェア・エニックス)

  ・トルネコの冒険シリーズ (c)エニックス(現:スクウェア・エニックス)

  ・ディアブロシリーズ(最近はスラックス&スラッシュ系と言われます)

   

■シミュレーションゲームでは、

・スーパーロボット大戦シリーズ (c)バンダイ(現:バンダイナムコゲームス)

  ・ウォークラフトシリーズ (c)Blizzard Entertainment

  ・エイジオブエンパイアシリーズ (c)アンサンブルスタジオ・マイクロソフト

  ・シムシティーシリーズ (c)EA

 

■アクションゲームでは、

・スペランカー(アクションアドベンチャーですかね)

  ・ソロモンの鍵 (c)テクモ(現:コーエーテクモゲームス)

  ・ロードランナー (c)アイレム(現アイレムソフトウェアエンジニアリング)

  ・ドルアーガの塔 (c)ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)

などがそうですね。    

3)切り替えを使ったスクロール

最後の紹介は、切替スクロールです。 これの手法は、画面内は基本的に動かず、自由に端から端までキャラクターは移動できます。

ネコ画面切り替えスクロール
↑ クリックすると動きます!

上下左右の端に壁がある部屋の中にいるゲームシーンで、壁に一箇所扉や洞窟などの入り口がある場合、そこに入る(触れる)ことにより、入った先の続きとして画面全体がスクロールします。

端が全て壁でなく、広大な森や草原、砂漠などのシーンであれば、端のどこを触れても次のシーンもその続き。といったバリエーションも可能なので、トップビューやサイドビュー、クォータービュー(少し斜めからの俯瞰で見た画面)で全体を構成したゲーム性には広いフィールドの展開が可能です。 更にこの手法は、画面が切り替わるまで次の画面が見えないため、次にどんな敵がいるのかといった不安感や、どんな新しい世界が広がっているのかといったワクワク感を演出する事、また、扉に鍵が掛かっていたり、土砂崩れや木が倒れて先に進めないといった、あるアイテムがないと先に進めないというトリックが可能です。

・アクションロールプレイングゲーム(ARPG)
・アクションパズルゲーム(APG) などでよく見かける手法です。  

■アクションロールプレイングゲームでは、

・ゼルダの伝説(ファミコン初期のもの) (c)Nintendo

・メトロイドシリーズ (c)Nintendo

  ・ザナドウ (c)日本ファルコム

  ・レリクス (c)ボーステック

 

■アクションパズルゲームでは、

・エイブ・ア・ゴーゴー (c)ゲームバンク(現ソフトバンク)

長々とした説明となりましたが、いかがでしたか? ゲーム制作のプロはゲーム制作を通じて、このようなアイデアを元に、ゲームの楽しみ方や表現を学ぶことにより、遊んでくれる人たちに、そのゲーム内容やジャンルに最適な画面の切り替えについてのバリエーションやその目的と効果を与えることができます。
もちろん開発のメンバーはその重要性を理解、そのような視点で物事を考えるようになるのです。

ハードウェアの進化とともに、グラフィックの表現やボリュームが増大していますが、ゲーム作りの基本的な考えは昔のファミコンなどのメモリも少なくCPUも非力なの弱小ハードウェアの制限の中で作られたゲーム性やテクニックに今のゲームのアイデアが入っていると思います。

プロクラスで教えているゲームの作り方は、こんな知識がたくさん身につき、アイデアの幅が広がるという声をいただいています。 今回は昨今いろいろなプログラミング教室がある中で、僕たちが教えている授業の内容を垣間見てもらえればと思い、ご紹介させていただきました。

子供たちにクリエイターになってもらいたいと願うお家の方がいらっしゃったら、是非僕たちの授業を受けに来てください。 皆様の参加をお待ちしています!

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ヨシダミツヒロ(@milan40920)