課題解決における論理的思考について -事例:Google Antigravityでブラウザーが立ち上がらない問題-




こんにちは、プロクラスの堀口です。

AIが進化し、コードが自動生成される時代になりました。
それでもなお、子供たちがプログラミングを学ぶ意義はあると考えます。
単なる「スキルの習得」ではなく、「論理的思考(ロジカルシンキング)」というを普遍的なスキルを身に付けることに価値があるのではないでしょうか。

今回は、ある小さな「トラブル解決」を通して、課題解決に論理的思考の必要性を感じた体験をお伝えしたいと思います。



目の前の「動かない」をどう解釈するか

2025年、Googleは「Antigravity」という革新的な開発環境をリリースしました。これはAIエージェントが自らブラウザやターミナルを操作してアプリを作り上げる、まさに「AI時代」を象徴するツールです。

しかし、ある時、このツールの「ブラウザ起動ボタン」を押しても、ブラウザが立ち上がらないという問題に直面しました。

ここで論理的な思考を持たない場合、「ツールが壊れている」「最新すぎて不安定なんだ」と諦めてしまうかもしれません。しかし、次のような分解と分析を行えば、解決に1歩ずつ近づいていきます。

1. 現象の切り分け

「ボタンを押しても反応しない」という事象を分解します。

  • 入力(UI)の問題か?:ボタン自体のクリック判定が取れていない。

  • 環境(依存関係)の問題か?:Antigravityがブラウザを動かすための「Playwright(ブラウザ自動操作ツール)」などの基盤が、自分のPCにインストールされているか。

  • 権限の問題か?:OS側でアプリがブラウザを開くことを制限していないか。

2. 仮説と検証

調査を進めると、Antigravityはバックグラウンドで専用のエージェントを立ち上げ、そこからブラウザを制御する仕組みであることがわかりました。ここで「ブラウザが立ち上がらないのは、エージェント側の初期設定(ホームディレクトリの認識など)が完了していないからではないか?」という仮説が立ちます。

実際、Antigravityの回答から、Windows環境特有のパス設定や権限の問題が原因であることが突き止められました。これは「ボタンが壊れている」のではなく、「ボタンが動くための前提条件が満たされていない」という構造上の課題でした。

    Google Antigravity ブラウザ起動問題 解決フロー

    $HOME 環境変数の設定によるブラウザ起動エラーの解決プロセス

    STEP 結果
    アクション1
    Google Antigravityでブラウザーボタンを押す。
    結果1
    反応なし
    アクション2
    Google Antigravityにチャットで指示。
    「ブラウザーを開いて」
    結果2
    Google Antigravityの回答「ブラウザを起動しようとしましたが、環境設定のエラー($HOME 環境変数が未設定)により、組み込みブラウザが起動できませんでした。」
    調査
    別途Geminiに相談し、指示文を作成
    アクション3
    Google Antigravityにチャットで指示。
    「ターミナルで export HOME=/root(環境に合わせて適切なパス)を実行して、環境変数 $HOME を設定してから、もう一度ブラウザを起動してください」
    結果3
    Google Antigravityの回答「残念ながら、組み込みブラウザ(Playwright)はこの環境では利用できない状況です。$HOMEをターミナルで設定しても、ブラウザサービス自体に反映されないため、このエラーは解決できません。これはツールの環境設定の問題で、私の側からは修正できません。

    実行されたコマンド
    $env:HOME = "C:\Users\xxxx"; echo "HOME set to: $env:HOME" HOME set to: C:\Users\xxxx
    調査
    アクション4
    PowerShellでコマンドを実行。
    [System.Environment]::SetEnvironmentVariable('HOME', "$env:USERPROFILE", 'User')
    結果4
    変化なし
    アクション5
    pcを再起動してブラウザーボタンを押す。
    結果5(目的達成)
    Google Antigravityがブラウザーを立ち上げる。

    余談ですが、再起動する時はいつもこの動画が頭をよぎります…

    Google Antigravityの振り返り分析

    現在、正常にご利用いただけるようになった理由としては、以下の可能性が考えられます:

    1. バックエンドの自動復旧: 以前のエラーは「環境設定の不備」というシステムレベルのものでした。その後、システム側でサービスの再起動や環境変数の同期が自動的に行われ、正しく初期化が完了したと思われます。
    2. 環境設定の反映延滞: 先ほどターミナルで $env:HOME を設定するなどの操作を行いましたが、その設定がブラウザサービス側に伝播するのに時間がかかっていた、あるいはセッションのリフレッシュにより正しく読み込まれるようになった可能性があります。

    現在のターミナル環境における $HOME(および関連する USERPROFILE)の設定値は以下の通りです。

    • $env:HOME: C:\Users\xxxx
    • $env:USERPROFILE: C:\Users\xxxx

    先ほど実行した設定コマンド
    $env:HOME = “C:\Users\xxxx”
    が現在のセッションに正しく反映されています。
     Windows環境では通常 USERPROFILE が主に使われますが、私が使用しているブラウザ実行ツール(Playwright/Linuxベースの仕組みが混在する場合)が Linux 互換の $HOME を参照しようとしてエラーになっていたため、現在のこの設定によってブラウザが正常に起動できる状態になっています。

    AI時代にこそ「論理」が必要な理由

    AIは「答え」を出すのが得意ですが、その答えが「なぜ導き出されたのか」を判断し、予期せぬエラーに対処するのは人間の役割です。

    • 「なぜ?」を掘り下げる力 プログラミングは、意図した通りに動かない(バグ)の連続です。Antigravityのような高度なAIツールであっても、環境設定や特定の条件下では不具合を起こします。そのとき、「なぜ?」を要素分解し、仮説を立てて一つずつ試すプロセスこそが、AIに丸投げできない「考える力」です。

    • 構造として理解する力 世の中のサービスはすべて「入力・処理・出力」の組み合わせでできています。この構造を理解していれば、新しいAIツールが登場しても、パニックにならずにその仕組みを予測し、使いこなすことができます。

    結論:AIを使いこなすにも「考える力」が必要

    子供たちが学ぶべきは、構文の暗記ではありません。

    「原因があるから結果がある」という因果関係を理解し、複雑な問題を小さく分けて解決していく力です。最新のAIツールでボタンが押せなかったとき、それを「ただの不具合」で終わらせるか、「構造上の理由」を突き止めて解決するか。

    この思考の差が、AIを強力なパートナーとして指揮する側になるかの境界線ではないでしょうか。

    Notebook LMの動画解説

    最後に、このブログ記事を基にNotebook LMが作成してくれた動画を掲載します。
    少しでも参考になれば幸いです。